筋電義手の現状

日本での義手の処方割合(平成22年)
出典:障害者自立支援法における筋電義手の支給と課題
内閣府の調査によると、日本における18歳以上の上肢切断者は8.2万人であり、毎年約3千人が増え続けていると考えられています。 8.2万人のうち、義手使用者の70%が筋電義手を希望しているという高い需要がありますが、様々なハードルにより普及率はわずか2%にとどまっているのが現状です。(出典:障害者自立支援法における筋電義手の支給と課題

筋電義手の問題点

金銭的ハードル

これまで日本で筋電義手を購入しようとすると、海外製の100万円台から数百万円という高価格な義手の中から選んで買わなければなりません。海外では支援制度が整っており、本体価格が高額な義手でも手軽に使用することができますが、日本の支援制度において筋電義手は特例補装具という分類にあたり、審査が必要となります。

支援制度を受けるまでには、初期費用は自費で支払い、1年程度日常生活の中で使用した上で筋電義手がないと生活が困難になることを証明し、審査で認められて初めて支援金を受け取ることができます。この審査に通らないと支給対象外となり、数百万円という高額を全額負担となってしまうため、特に成長が早い子どもにとっては金額のハードルはとても大きいものとなります。

見た目によるハードル

従来の筋電義手の中には物を十分な力で把持することや、特定の作業がしやすくなるような形状の義手が多く、見た目を強く気にする日本人にとって敬遠されてしまう1つの理由となっていました。

義手使用者が選んだ義手の割合を表すグラフを見てもわかる通り、見た目を補えても実用的な動作ができない装飾義手が86%を占めており、手ごろな価格で実用的な動作ができても、見た目が人の腕と大きく異なる作業用義手、能動義手は合計しても全体の1割ほどにとどまっています。


自由度の高い動作と強い把持能力が特徴の筋電義手は、腕を切断された方にとって日常生活を非常に便利にするものであり、先天的欠損の幼児にとっても、脳の発達、筋力の低下防止に大きな効果があるという研究結果も発表されています。(出典:身体を拡張する筋電義手:”障害”を再定義するテクノロジーの実現を目指して)

これらの問題点を解決する筋電義手の早期普及が必要であり、
ALTsではこの問題の解決を目指しています。

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